聖基館の合宿はコロナ禍でも続けてきました。それはなかなか大変なことで、人もお金も場所も必要で、知識も行動力もチームワークも必要で、開催を諦めた方がよほどラクだったのです。しかし、通常稽古であれ、合宿であれ、選手たちの成長を望むのであれば「何もしない」という選択肢はありませんでした。肉体的な健康だけでなく、こどもたちの精神衛生の観点から開催に踏み切った時代があるのです。
そういう頃に比べれば、今の運営は何倍も楽しめています。
テーマと大切にしていること
さて、 合宿のテーマはいつも同じで
「全力で遊び、全力で稽古する」
ですが、他にも大切にしていることの一つとして
「親元を離れ、できるかぎり自力で生活する」
ということがあります。練習や食事の準備、後片付け、掃除など、稽古や生活の中で多くを学ぶ機会があります。できるかぎりスタッフが手を貸さず、何事も先ずはやらせてみたいところ。また、スタッフが何か指示を出すことがあったとしてもチームリーダーを介して行うようにします。
互助だけでなく自力
同じ道衣を着て行う稽古でも合宿の稽古は普段と一味違います。集団生活の中では互助が大切ですが、稽古の中では一人ひとりが自力を付けることを大切にしています。
合宿で行う稽古の難易度は低く、シンプルな運動が多くなります。そのぶん参加者全員が大きな声を出すことになるわけですが、シンプルな動きでもこなす数が多く、一挙動ごとに発せられる大きな声の塊りが御嶽の山に木霊します。体育館に漂う熱気は、汗を流す一人ひとりを勇気づけ、限界まで力を出し切ることを可能とします。
最も学ぶのは、遊びの中
「学び」という言葉を学問に限定せず、より広義に捉えるならば、こどもたちにとっての学びの場は多様であるはず。たとえば勝負の中で、助け合いの中で、家庭の中で、etc どんな環境でも学ぶことが必ずあるわけですが、こどもが最も効率的にあるいは積極的に学ぶ機会を得るのは、遊びの中だと思います。
子どもは、遊びの中では覚えるのに速く、求められずとも工夫します。
子どもは、遊びの原理を追求し、見つけたことを発信します。
いわば遊びは彼らの天職であり、彼らを育てる糧なのです。また、遊びで得た知恵の多くは、多様な場面で応用可能だと思います。ですから当会の合宿では、全力で遊ぶことをテーマに取り入れているのです。
おわりに
今回の合宿ではスタッフたちの力をとても感じました。大切な生徒たちの安全を全力で守り、生活を支え、稽古指導してくれたスタッフの皆様に改めて感謝します。もちろん、お世話になった南山荘様にも感謝。私たちを信頼して大切な子どもたちを預けてくださる保護者の皆様もありがとうございました。より良い合宿となるように来年も頑張りたいと思います。
最近は聖基館の生徒でなくとも、当会の合宿に興味を持ってくださった方のご参加が増えています。当会としては、たとえ空手未経験の方であっても大歓迎です。