実用新案登録出願済み。
ニューメンホーに装着するアイテムを製作。試行錯誤と特許庁への申請を含めると三カ月以上かかってしまいました…。やっとご紹介できます。
強豪校などの部活動や地方の町道場では組手稽古の再開がされていますが、都内の町道場ではなかなか…。
聞くところによると選手たちが様々な工夫をして組手稽古再開への道を模索しているようです。
ある人は、マスクを着用して…。
ある人は、マスクとメンホーの両方を装着して…。
あるいは、メンホーにサランラップを巻いて…。
私自身も色々と試してみましたが多くの場合は呼吸困難と蒸れが解消できませんでした。なかには怪我という最悪の結果が出たものも…。
PPP(ポリプロピレン プロトタイプ)
当初、シンプルに考案したのがこれでした。
画像の物は輪郭を分かりやすくするために点線をひいてあります。同じような理由で透明度を落としました。メンホーのポリカーボネートとの違いが分かると思います。
クリップはただの台座です。
構造が実にシンプルなので製作もラクです。見た目も悪くありません。衛生面の問題があるかもしれませんが、消毒などすれば繰り返し使えるメリットがあります。接着は特殊糊や両面テープなどでも可能です。
これでいければ一番ラクだったのですが、テスト段階で問題が二つ発生しました
一、呼吸困難
あるていどは予測していましたが、やはり少し苦しかったです。また、自分の吐いた暖かい呼吸が顔面に跳ね返ってくるという…。これが意外としんどいのです。
二、怪我
怪我の発生は最大の問題でした。しっかりと装着したのですが、突きを受けた際に少しずつ装着位置にズレが生じたように思えます。その後、足がもつれて軽く転倒。刹那、ピリっとした痛みが頬を走りました。確認してみるとPPPは部分的に剥がれ、少し顔面側に折れ曲がった状態でうっすらと血を帯びていました。
アラフォー男性の皮膚が切れても誰も心配はしませんが、もしこれが眼球であったら…子どもの頬だったら…。
簡単な改善策は以下二つ
★より強力に装着する。
★傷つけない素材に変更する。
一人脳内会議の結果、慎重派池谷の意見
『傷つけない素材に変更する』が
『暑いし苦しいの嫌だし』の意見と共に採用されました。
カッティングシート仕様
素材はプリント用紙、和紙、サランラップ、テーピング、不織布、タイベスト紙、メッシュフィルターなどいくつかを試しました。中でも製作が最も簡単だったのがカッティングシートを使用したものでした。画像の物は分かりやすくするために派手な赤色を使用していますがお店に行けば色味はたくさん種類がありますし、柄物なんかもあったりします。
これは本当に切るだけで出来てしまいます。個人が自分の分を手作りするくらいであれば、これが一番ラクだと思います。PPPのような怪我の可能性も低くなりますし、遮断性が上がります。ただし、息苦しさや蒸れの解消はできませんでした。
飛沫防止フィルター1.1
改めて必要な条件を考えてみると…
・飛沫が一定程度遮断可能
・なおかつ呼吸がラク
・怪我の恐れがない物
結果、素材はマスクに使われている不織布と、もう少し粗目な特殊フィルターの二つに絞りました。マスクと接着する部分にのみ両面テープが施されいます。(剥がしてもよごれが残りにくいものを採用しています)
飛沫防止フィルター1.1 の特徴。
★繰り返しの使用ができませんが、使い捨てなので清潔です。
★近間の相手の足元が微妙に見えにくくなります。
(接近戦で角度の浅い蹴りなどが見えにくくなりました)
★PPPにくらべて呼吸がラクです。
★内外のどちらでにも装着可能です。
メンホーの外側に装着した状態で耐久テストを行いましたが、思った
以上に丈夫でした。
★破れたり、折れたり、破損した状態でも怪我をしませんでした。
どんなものでも一長一短ですが、なんと言っても事故や怪我の防止を
最重要課題としました。
ニューメンホー6タイプも作りました。
呼吸穴に対してフィルターが大きいようにも見えますが、少し大きめに作ることで多少ズレて装着してもしっかりと穴をカバーしてくれます。また、全てのメンホーサイズに対応できます。
でも実は、メンホー7タイプでも6タイプに代用可能です。
外貼りも意外と耐久性があります。
見た目は内側に貼った方が綺麗ですが、耐久性は外貼りでも問題ないと思います。実際に拳サポーターやインステップガードを装着して突き蹴りを当ててみましたが特にズレたり破れたりはしませんでした。ただし、大型トーナメントを一日乗り切るなどは難しいと思います。もともと公式試合用ではなく、稽古で使用することを念頭に製作したものですが、最悪、破損などしたらすぐに貼りかえることもできます。
しばらくは当会の強化育成選手の稽古で試験的に使用するつもりでいます。
ちなみにこちら、単純な造りのわりに製作は大変です。まとめて作る仕組みも準備していますので、もし興味のある道場の先生などいらっしゃれば当会までお問合せください。
最後となりましたが、特許庁への申請にあたって多大なるサポートを賜った旧友に感謝します。