2018年6月3日、所沢市立松井小学校において第9回友好親善空手道大会が行われ、当会の選手6名が出場しました。
懇意に頂いている大辺先生や桧垣先生が運営側でご活躍している今大会は、昨年初めて審判としてお呼び頂きました。
大会にはまだ空手道経験が少ない選手達が集まります。一番を決めるためではなく、経験の浅い選手達が集まって試合の楽しさを知ってもらうことを目的に開催されている大会です。勝利至上主義と正反対を行くこのような大会は稀と言えます。貴重な大会に選手を輩出させて頂けることを心から感謝します。
さて、せっかくですから今日は勝ちと負けについて考えてみたいと思います。
勝ちは嬉しいものですね。しかしこれはなにも、相手をより自分が優れていることを実感(優越感)するとか、対戦相手を倒すことで爽快感が得られるからというわけではないと思うのです。より人間の本質的な部分が顕著に現れる子供を参考にするならば、彼らはそんなことなかなか考えませんし感じません。ではどうして勝ちが嬉しいのでしょうか。おそらくそれは承認欲求が関係しているのではないかと思います。
他者から認められたいと思う他者欲求や自分の理想に近づきたいという自己承認というものは、いずれも人間の本質的な欲求だと思うのです。
ですから勝負に勝つことで承認欲求が満たされ、嬉しく感じるのです。
それでは負けはどうでしょうか。負けは嫌な気持ちになります。否定された気がします。
私も敗戦を何度も経験してきたわけですが、決して気持ちの良いものではありません。
しかしながら、果たして自分が承認される対象となるべく道を歩んでいるのか否か、それは負けや失敗を通してでなければ知り得ないことでした。
『ああ、駄目だった』
『うまくいかない』
そういった経験を通してのみ、自分の稽古方法や考え方、日常を修正する必要があると気付くのでした。
昨今、スポーツや体育の勝敗をあえて不明確して、だれも傷つかないような遊戯化が進んでいるように感じることがありますが、
これはある意味で子ども達の成長機会を奪っていることになるのかもしれないと危惧する部分があります。
勝ちだけに拘る勝利至上主義ではなく、『勝ちからも負けからも等しく学ぶことがある』という考え方の勝負至上主義を私は提案したいと思うのです。
今大会で勝てた選手も負けた選手も、この経験を次に活かして明日への活力としていけるよう願っています。
最後となりましたが、関係各位、サポート頂いたご父兄の皆様、終日ありがとうございました。