スポーツには大きく分けて二種類あります。
個人競技と団体競技です。
また、多くの武道は個人競技が主流です。
柔道も、剣道も、空手道もコートの中に入れば一対一の真っ向勝負を求められます。先鋒や中堅などにわかれる団体戦も結局は一対一で対峙するわけですから同じことです。
個人的には、バレーや野球のような団体競技を『同時進行型団体競技』と呼び、ゴルフや水泳のようなものを『種目限定型個人競技』と言っています。(表現に自信はありません…)『種目限定』というのは、個人競技が主となりつつも、種目によっては複数選手の協力体制で勝敗を決定することもある。という意味で、水泳でいう リレー や空手道の団体戦などの事例があるからです。
上の写真は、WKFの世界大会決勝の舞台です。
この大きな会場に満員のギャラリー。センターコートに立つ選手は組手で二人。個人形競技では、たったの一人です。
この場で演武することの重圧がいかに強烈なのものか想像するだけで恐ろしいです…。
必要になってくるのは精神力。
どんなに技術のある選手でも場の空気に飲み込まれてしまうようであれば負けてしまいます。
これは大舞台だけの話しではありません。街の小さな大会でも同じなんです。
最初のうちは、選手自身が勝敗の意味もよくわからない状態ですから勝ち負けよりも 『大会に参加する』 というだけで一定の意味があります。ところが選手の成熟が進むようになると勝敗結果がリアルに響いてきます。勝てば楽しいですし、負けると悔しかったり、つまらなく感じたりします。空手が個人競技だからポジティブな事もネガティブな事もぜーんぶ、直接、自分の結果になるわけですね。
かつての私も試合に勝てず苦しんだ四年間があります。
はっきり言ってあの頃、空手が面白いなどとは、まったく思いませんでした。
『なんで勝てないんだ!?』 と悔しがったり 『もういいよ』 と諦めかけました。
それでもなんとか続けることができたのは、途中で諦めたら本当に負けだとわかっていたからだと思います。
『今、勝てなくても最後に勝った奴が勝者なんだ!』 と、どこかで聞いたことがあったんです。
だから、最後に一回だけでも勝って、それから辞めようと。
そんなこんなで苦しい四年間を過ごして、やっとこさ満足いく結果を出すことができました。
そうすると今度は空手が面白くなってくるわけです(笑)
でもこれは、『勝ったから面白い!楽しい!』そんな単純な話しでもないのです。自分の現実を知って、何が課題か考えて、一つひとつクリアしていった結果の『勝ち』がとても有意義だったのです。
もしかすると、こういう面白さは逆境の中でしか味わえないのかもしれません。
20年の空手人生を振り返ってみると、苦しい時の方が学んでいることが多いんです。
勝った時よりも負けた時の方が高い経験値を収獲できるようなのです。
だから、苦しくてつまらない時こそチャンスなのであって、そんなときに諦めてしまうのが一番もったいないんですね。
くどいようですが、空手は個人競技ですから(団体形を除いて)
『私たちは勝った』 ではなく 『私が勝った!!』
『私たちは負けた』 ではなく 『私が負けた!!』
となります。
でも決して一人じゃない!
私も、選手が空手道の本当の面白さを知ってもらえるまで一緒に産みの苦しみを味わうつもりでいます。
道場の仲間達がコート脇で応援してくれています。
勝つ人は一握りなのに対して、負ける人の方が何倍も多いし、道場の仲間はみんな負けを経験しています。
結果に直視させられる分、勝てないうちは辛いかもしれないけど続けていれば必ず努力が報われます。約束します。
これからの大会シーズン、選手達にとって良い学びとなりますように…。
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